シーズの成熟度(TRL)が上がり、チームアップを経て起業する際に、資本政策というものを考えないといけません。なぜなら起業し、研究シーズの研究開発が成功したからといって、すぐに純利益を出すことは難しく、事業を継続するために、銀行からお金を借りたり、しばしばベンチャーキャピタルからお金を「持株と引き換えに調達する」場合があります。
この「持株と引き換え」=「会社の権利の一部を渡す」ことを意味し、その割合によって様々な権利を渡すことになります(下図)。その割合をきちんと把握しないと、しばしばトラブルに繋がる場合があります。このようなトラブルを防ぐために、どのタイミングでお金を借りるもしくは、どれだけ持株と引き換え、会社の権利を守るのかの戦略が必要となります。これを資本政策といいます。
発行済株式保有割合 | 権利・権限 (一部抜粋) |
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66%以上(2/3以上) | 株主総会の特別決議(※)を単独で成立させられる ※定款の変更、取締役の解任、合併や解散などを決める決議。 |
50%超(1/2超) | 株主総会の普通決議(※)を単独で成立させられる ※取締役・会計監査人の選任、取締役・会計監査人の解任など。 |
33%超(1/3超) | 株主総会の特別決議を単独で阻止可能となる。 |
25%以上 | 相互保有株式の議決権の停止可能となる。 |
20%以上 | 商法上特別な権利は無いが、連携決算上は関連会社となる |
10%以上 | 会社解散請求権を持つ。 |
3%以上 | 株主総会招集請求権・会計帳簿閲覧権などを持つ。 |
資本政策例
NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
- 研究開発型ベンチャー企業の資本政策立案の手引
- https://www.nedo.go.jp/content/100881843.pdf
NICT-情報通信研究機構
- 事業計画作成とベンチャー経営の手引き
NICTが出している資料です。ボリュームが多いですが、起業する際には一度目を通しておくとのちのちに活きてきます。
- http://www.soumu.go.jp/main_content/000170365.pdf
経済産業省
- 事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き
経産省より出している資料です。事業連携の際の注意等が記されており、参考になります。
- http://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/venture/tebiki.pdf